カーボンニュートラルの現状と動向

1.パリ協定の長期目標、カーボンニュートラル

 地球温暖化による世界の平均気温の上昇幅を2℃より低く抑えるために、温室効果ガスの排出を増加から減少へと転じさせ人類活動による排出を実質ゼロ、つまりカーボンニュートラルにすることが世界共通の長期目標となりました。それを取り決めしたのが2015年 第21回契約国会議COPのパリ協定です。
 パリ協定は、長期での温度目標や排出ゼロ目標などが明記された初めての国際条約で、京都議定書などそれ以前の国際条約では、こうした目標は一切取り決めせれていませんでした。もちろん従来も低炭素社会を目指す企業の取り組みなどはありましたが、このパリ協定で、低炭素を越えて排出実質ゼロの脱炭素社会を目標として明記したことは、二酸化炭素を排出することは良くないことであると方向づけることとなりました。

 

2.上昇幅「2℃」と「1.5℃」の違い

 平均気温の上昇幅の長期目標を「2℃」とし、さらにできれば「1.5℃」に抑える努力目標もパリ協定で追記されました。その3年後2018年「1.5℃特別報告書」で、1.5℃までに抑えるには2030年に2010年比で45%の排出削減、2050年実質排出ゼロにする必要があると示されました。
2℃から1.5℃に抑えることで、気候変動による影響を目に見えて小さくすることが出来るようです。
 例えば熱波に見舞われる人口は2℃だと世界人口の28%で、1.5℃だと9%。洪水のリスクは、2℃だと現状の2.7倍、1.5℃だと2倍。その他、海面上昇、北極圏の海氷の減少、サンゴ礁の白化、水産資源の減少、などの面で1.5℃に抑えるよるリスクの低減が明らかにされました。
この報告書を基に、1.5℃、2050年実質排出ゼロ、カーボンニュートラルを目指す動きが国際的に動き始めることになりました。

 

3.企業や団体が排出ゼロに向けた競争に参加

 2019年9月ニューヨークで開かれた「国連気候行動サミット2019」で2050年実質ゼロエミッションを達成させるために各国に具体的現実的な計画を持って参集するよう呼びかけられ3ヵ月後に、気候野心同盟が発足。121の国、23の地域、454の都市、1961の企業・団体、74の投資家が参加し2050年にCO2排出を実質ゼロにすることを表明しました。2020年6月気候野心同盟と連動した国際キャンペーンRace To Zero がスタート。この活動には非国家アクターである67の地域、1049の都市、5230の企業、1091の団体、441の投資家が参加していて、すべて合わせると、全世界のCO2排出量の88%、GDPで90%、人口で85%をカバーしてより、国関係なく競争することでより効果的な活動になるだろうと言われています。

 
 

4.企業の排出削減目標のグローバルスタンダード、SBT

 企業が立てた自社の排出削減目標が科学的知見に沿った削減目標であり、外部から見ても高いレベルのものであると、SBTイニシアティブとして認められることになります。SBTイニシアティブは、CDP(旧カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)、世界資源研究所(WRI)、世界自然保護基金(WWF)、国連グローバル・コンパクト(UNGC)によって2014年9月に設立され、パリ協定に沿った目標策定のグローバル・スタンダードとなっています。2022年2月8日現在、SBT認定取得済企業は、世界で1,154社 うち日本企業は154社となっています。